2月5日に公益社団法人北海道柔道整復師会付属、北海道柔道整復専門学校、第31回卒後教育講演会にて札幌医科大学医学部細胞生理講座教授、本校講師である、當瀬規嗣先生の「新しい運動生理学-スポーツケアを中心に-」という演題で講演がありました。北海道新聞でも連載やテレビ出演もしている有名な先生です。内容としては「乳酸」に関する最新の情報です。結論から言いますと乳酸はエネルギー源であり疲労物質ではないと言う事です。運動をすると速筋(FG線維)の中でグリコーゲンを原料にして乳酸が発生し細胞外に出て血液循環を通し心臓を経由し遅筋(SO線維)にて乳酸を原料にして筋運動を行う。つまり遅筋(SO線維)の筋活動は乳酸なしでは出来ないとのお話でした。また乳酸は痛みとは関係がないととも言っておりました。自分たちが生理学を勉強した時、乳酸は悪い物質ととらえられておりましたが、体にとって必要な物質との認識に変わりました。遅発性筋肉痛は24~48時間に起きるもので、乳酸は運動後60分以内に消失し筋肉痛を起こすことはないと、先生本人のフルマラソンの経験も踏まえ話しておりました。筋肉痛の原因は損傷により白血球がでてヒスタミンやブラジキニンがでる事によって組織の血行が悪くなって起こる事であり、その事を改善する為には筋肉を柔らかくする為に温める重要性についても話しておられました。具体的にマラソン直後に筋肉痛予防の為20秒~30秒姿勢を保持する静的ストレッチを行いその後血行改善の為入浴し、トリガーポイント(痛みの場所)をピンポイントでマッサージする事を話しておりました。また痛みを出している場合(けがなど)は冷やしてもいいが、筋肉痛の場合はむしろ温める必要性についても述べておりました。我々治療を生業とするものは生理学の理解が重要で、患者さんの体の中でどんな現象が今起こっているのかをイメージする事の重要性がわかりました。そして改めて今やっている治療の考え方が合っているとの自身を持つ事ができました。体を治すメカニズムはまさに生理学の分野です。これからも勉強して患者さんに還元できるようやっていきます。